Cさんの例
認知症のため入院
Cさん(80代、女性)は、独身で子どももなく、都内の自宅マンションに一人暮らしをしていました。定期的に姪ごさんが訪問し、通院に付き添うなどしていましたが、認知症が進んだため、入院をしました。
骨折で転院
入院先の病院で転倒し、頭蓋骨骨折などの大けがをし、別の病院に転院しました。その後、容態が安定したため、元の病院に転院しましたが、Cさんは姪ごさんのことがかろうじて分かる程度でコミュニケーションが取れなくなってしまいました。
Cさんの姪ごさんが、入院手続きや入院中の病院とのやりとり、身の回りのことを行っていましたが、高額となったCさんの入院費を払おうにも、Cさんは自分の預貯金からお金を払い出すこともできなかったため、成年後見人が必要となりました。
また、Cさんは介護施設などへの転院も予想されましたが、施設入所手続のためにも、後見人が必要でした。
また、空家となった自宅の管理や売却のためにも、成年後見人が必要でした。

成年後見の申立て
姪ごさんが後見申立人、NPO法人が後見人候補者となって後見申立を行いました。もっとも、Cさんの財産が預貯金だけでも3000万円以上と高額であったため、NPO法人と弁護士高石が後見人に選任されました。 弁護士高石は、後見制度支援信託(日常生活で必要となる金額+αを手元に残し、それ以外のまとまった金額を、信託銀行に預ける制度)の利用を検討するために後見人に選任されました。これは複数の後見人が選任される複数後見というものです。
後見人のうち、NPO法人が身上監護の事務を受け持ち、弁護士高石が、財産管理及び身上監護の事務を受け持つこととされました。
後見人高石は、本人の預貯金の払戻しと入院費の支払い、姪ごさんが立て替えていた費用の支払い、自宅の電気、電話、水道、ガス、NHK、携帯電話の解約手続きなどを行いました。また、手術や入院についての保険金請求手続きを行いました。さらに、ご自宅に戻ることは考えられなかったことから、姪ごさんのご了解の元にご自宅の売却手続きを行いました。
また、Cさんは当面は入院を継続するということになりました。
さらに、姪ごさんが、Cさんの入院・転院などの緊急な対応をしてくれ、身の回りやお見舞いなどを大変面倒をみてくださっていたため、Cさんの財産の中から姪ごさんにまとまった額の御礼をしたいと、後見人高石が裁判所に意見を述べ、姪ごさんに御礼が支払われました。

Cさんの財産を整理・現金化した後で、手元現金を300万円残して、残りの数千万円を信託銀行に預けるという後見制度支援信託契約を締結することとしました。裁判所の指示により、後見人高石が、信託銀行との間で、後見制度支援信託契約を締結しました。
後見制度信託契約を締結した後は、後見人高石は辞任をすることとなっていたため、今後は、NPO法人のみが後見人となり、後見人高石は辞任しました。