状況・背景事情
Aさんは夫と結婚して20年、18歳のお子さんと、3人家族です。
Aさんが夫のDVやモラハラに20年間苦しめられてきました。
Aさん は、夫のDVのストレスで精神科へ通院するまで悪化していましたが、Aさん自身は自営業の夫の事業を手伝っており、ご自身の収入が少なかったため、別居に踏み切れない、という状況でご相談にいらっしゃいました。また、大学生受験生の息子さんのことも気がかりでした。
法律相談では、婚姻費用の見込み額や、財産分与の見通し、養育費の見込み額などをご説明した上で、DVが続く以上、出来るだけ別居する方がいいこと、そのためには、住まいを確保するため、収入を得る手段を確保することなどをお伝えしました。
その後、Aさんは精神的な症状が悪化したため、結局、Aさんが家を出る形で別居をしました。
Aさんは結婚以来、夫婦の貯金を、ご自身名義の預金口座と夫名義の預金口座に、毎月決まった額を振り込むという形でしていたため、別居の直前にはご自分名義の預金口座には、数千万円の残高がありました。なお、夫の口座にも同額が振り込まれていたはずですが、夫は口座から引き出して使っていたため、Aさんの口座ほどの残高はありませんでした。Aさんは、ご自分名義の通帳を全て持って、別居を開始しました。
受任後の活動
婚姻費用請求(交渉・調停・審判)
Aさん は当初は離婚に踏み切れなかったため、まずは婚姻費用を請求しました。
夫は、 Aさん が多額の預金残高がある預金口座を持っていることを理由に、交渉においても、婚姻費用の支払いを拒否しました。
しかし、婚姻費用は、あくまで双方の収入の多寡によって判断するもので、収入の多い方が少ない方に支払うべきものです。蓄えが多いから婚姻費用を支払わない理由にはなりません。
結局、交渉は決裂し、婚姻費用の支払いを求める調停(婚姻費用分担請求調停)を起しましたが、そこでも夫は婚姻費用の支払いを拒否し、調停は不成立(不調)となりました。その結果、審判にて、婚姻費用の支払いが認められました。審判においても、婚姻費用の金額はあくまで収入で判断すべきものであり、妻が共有財産である預貯金のうち相当額を所持していることは無関係と判断されました。
離婚調停
Aさんは、DVにより精神的に非常に傷ついていらっしゃったため、弁護士がお話をじっくり聞き、お気持ちを整理していきました。
また、別居が安定的に継続するようになり相手の影響が薄れるにつれ、 Aさんも相手の存在におびえることがなくなり、心の平穏を取り戻していきました。
夫が離婚調停を申し立ましたが、財産分与について、合意ができず、調停は不成立となりました。
離婚裁判 ~和解離婚~
夫が離婚裁判を申し立て、離婚裁判となりました。
このころには、 Aさんも、早く離婚したいというお気持ちになりました。お子さんも20歳となっていました。
夫は、妻が多額の財産を隠しているという主張を繰り返していましたが、当方の粘り強い主張の結果、妻が財産を隠しているという事実は認められませんでした。
反対に、妻からの夫名義の財産の開示請求(「調査嘱託」と言います)によって、夫名義の新たな預貯金が見つかりました。
夫は、 Aさん名義の預貯金からの夫への財産分与を執拗に請求していましたが、将来的な収入は夫の方が圧倒的に多いことなどを述べて、拒否しました。
結局、夫がAさんに解決金として500万円を支払い、和解離婚が成立しました。
未成年のお子さんもいなかったことから、 親権や養育費の問題はありませんでした。
解決のポイント
DVは相手の影響が及んでいる間は、正常な判断ができないため、弁護士がAさんのお気持ちに寄り添い、長い期間に渡ってお話を聞き、ご自身の気持ちの整理をしていくことが非常に重要でした。
別居時に Aさん がご自身名義の口座を所持していたとしても、婚姻費用の分担は、現実に収入が多い側が、少ない側に支払うべき、ということを一貫して主張したことで、夫による婚姻費用の支払いが認められました。
また、Aさん別居時に所持していた多額の預金がある口座の財産について、夫は、財産分与として Aさん が夫に支払うことを強く主張していましたが、Aさんが全額得ることに成功しました。
Aさんも結果に非常に満足していただきました。